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2009-01-03

Chapter 1 - ラグランジュ力学 / Lagrangian Mechanics

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この本の主題は運動と、その記述に用いられる数学的な道具である。

何百年にもわたる天体運動の丁寧な観測がそれらの運動の規則性を明らかにし、蝕や合などの現象の精確な予測を可能にした。これらの規則性を定式化し、最終的にはそれを理解しようとする努力が数学の発展、そして数学が物理世界の様相の記述に効果的に利用できるということの発見へとつながった。数学が自然現象の記述に使えるというのは特質すべき事実である。

ジャグラーが投げたピンは、割と予測可能な経路をとり、割と予測可能な回り方で回転する。実際、ジャグリングのスキルはこの予測可能性に大きく依存する。天体の運動を記述するのに用いられる数学的な道具と同じものがジャグリングのピンの動きの記述に使えるというのも特筆すべき発見である。

古典力学では、粒子(particle)系の運動をそれらの相互作用を記述する力によって記述する。ジャグリングのピンのような複雑な物体は、堅固な相互作用力によって固定された空間的関係を維持している無数の粒子としてモデル化することができる。


実際には決して起こらないような系の運動はいくつも考えられる。ジャグリングピンが中空で留まったり、ジャグラーの手に落ちるまでに頭の回りを14周したりすることを想像することはできるが、これらの運動は実際には起こらない。

どうしたら実際に起こりうる運動と、考えられるが決して起こらない運動を区別できるだろうか?おそらく我々は、考えられるあらゆる運動の中から実現可能な運動を識別させてくれる何らかの数学関数を考案することができる。

系の運動は、系の各ピースの毎瞬の位置を与えることで記述可能であり、系の運動のそのような記述を「配置経路(configuration path)」と呼ぶ。配置経路は配置を時刻の関数として特定する。ジャグリングのピンは空中を飛行しながら回転する;ジャグリングピンの配置はピンの位置と向きを与えることで特定される。ジャグリングピンの運動は、ピンの位置と向きを時刻の関数として与えることで特定される。

「configuration」の意味するところは少し分かってきたけれど、自分の理解の助けとして訳語を付けるとしたらどんな訳語がふさわしいだろうか。

  • 配置 / 立体配置 / 空間配置
  • 配位
  • 姿勢

「配位」って化学用語?「配置」という語を使うのは若干違和感があるけどとりあえず「配置」としておく。

我々が探し求める関数は、何らかの配置経路を入力とし、何らかの出力を行う。この関数には、実現可能な経路が入力された場合に特徴的な振舞いを持たせたい。例えば、出力が数値であり、実現可能な経路の場合にのみこの数値がゼロになるように調整するとか。ニュートン運動方程式はこの形式だ;どの瞬間においてもニュートン微分方程式は必ず満たされる。

しかし、洞察とパワーをもっと与えてくれる別の戦略がある:実現可能な経路において最小値をとるような経路識別関数を探すとか -- 実現不可能な経路上では、その関数は実現可能な経路上よりも大きな値を返す。これは「変分的戦略(variational strategy;変分法?)」である:実現可能な経路それぞれに不動点をもつことで、系の運動の中で実現可能なものを識別することができる経路識別関数をそれぞれの物理系に対して考案する*1。多くの系において、その系における実現可能な経路は変分原理(variational principle)によって定式化可能である*2

ニュートンや彼と同世代の者たちによって考案された力学は、系の各粒子の位置、速度、加速度によって系の運動を記述する。ニュートン力学とは対照的に、変分力学(変分的な力学の定式化;variational formulation of mechanics)では、系の運動と関連する質量集合(aggregate quantities)全体によって系の運動を記述する。

ニュートン力学では、力は系のポテンシャルエネルギーの微分としてしばしば記述される。系の運動は、個々の構成分子がその力にどのように反応するかを考慮して決定される。ニュートン力学における運動方程式の定式化は、本質的には粒子単位の記述である。

変分力学では、運動方程式運動エネルギーポテンシャルエネルギーの差分によって定式化される。ポテンシャルエネルギーは系の中の粒子の配置の特性の数値である;運動エネルギーは系の中の粒子の速度によって決定される数値である。ポテンシャルエネルギーも運動エネルギーも、位置や速度の特定方法には依存しない。その違いは系全体の特性であり、系がどのように特定されるかには依存しない。

だから我々は系の記述方法を扱いやすいように自由に選ぶことができる;我々は、ニュートン力学に付いて回る粒子単位の記述から解法されたのである。

変分力学ニュートン力学と比較して数多くのアドバンテージを持っている。系の状態を記述するあるパラメータに対する運動方程式は、そのパラメータの選び方に関わらず同じように導き出される:定式化の方法は座標系の選択に依存しない。系の粒子同士の間に位置的な制約がある場合、ニュートン力学はそれらの制約を維持している力を検討するよう求めてくるが、一方変分的な定式化においては制約は座標の中に組み込むことができる。変分力学は、各保存則間の均整のとれた連繋を明らかにする。

変分力学は、系のどんな運動をも系のすべての可能な運動の文脈の中に置くことができる枠組みを提供する。これらの利点ゆえに我々は変分力学を追求する。

*1関数不動点(stationary point)とは、入力値が変化してもその関数の値が変化しない点のことである。極大/極小(local maxima/minima)は不動点である。

*2:The variational formulation successfully describes all of the Newtonian mechanics of particles and rigid bodies. The variational formulation has also been usefully applied in the description of many other systems such as classical electrodynamics, the dynamics of inviscid fluids, and the design of mechanisms such as four-bar linkages. In addition, modern formulations of quantum mechanics and quantum field theory build on many of the same concepts. However, it appears that not all dynamical systems have a variational formulation. For example, there is no simple prescription to apply the variational apparatus to systems with dissipation, though in special cases variational methods can still be used.

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